士業事務所のホームページでは、ある一つの業務を案内するページ原稿を作ったら、その原稿の業務名(または地域名)だけを別の業務(または地域名)に置き換えて、別の業務案内ページ原稿を作ると、手間や時間をかけずに多数のページを作ることができます。
一見、効率が良くベストな方法にも見えますが、Webから直接に集客を検討しようとする場合、この方法には大きなデメリットが2つあります。
そして2024年以降、このデメリットは「効果が出にくい」という話から、もう一段踏み込んだ話に変わりました。その点も含めて、以下でご説明します。
類似コンテンツとして検索エンジンが評価しない可能性
まず第一のデメリットは、業務案内ページをコピーして、特定の単語だけ置き換えて新しいページを作る方法では、それぞれのページ内容が非常に似通ってしまうという点です。Google等の検索エンジンは「ページのオリジナリティ」を重視しますから、特定の単語だけが置き換えられているに過ぎないページは「この情報は既に検索結果に表示した」「似たようなページばかり表示させたくない」という判断が働き、追加したページ(または双方)が評価されない可能性が高くなります。
類似の業務案内ページをいくつ作っても、結果として表示されるのは最初に作った(またはいずれか)1つのページのみで、後のページはほとんど表示されない。
ページをいくら量産しても、各ページを検索エンジンがプラス評価してくれないため、ホームページ全体の評価も上がらない。
そういったデメリットが生じる危険があるわけです。
「ウチは同業者や他士業からの紹介で成り立っているから、ホームページには取扱業務が分かるように並んでいればそれでよい」というのならコピーページ量産による検索エンジンからの評価減の問題もそれほどデメリットとはなりませんが、Webから直接に受任を得たい、集客を図りたいという場合は、類似コンテンツは極力少なくしておきたいところです。
2024年以降、リスクの性質が変わりました
ここからは、この記事を最初に公開したあとの変化について。
2024年3月、Googleは検索のスパムに関するポリシーに、「大量生成されたコンテンツの不正使用」という項目を新たに追加しました。
これは、検索順位を操作することを主な目的として、利用者の役に立たないページを大量に作る行為を指すものです。そして、その具体例として挙げられているものの中に、同義語への置き換えなどによって自動的に変換したページを多数作る行為が含まれています。
お気づきかと思いますが、これはこの記事で扱っている「業務名や地域名だけを置換してページを増やす」という手法に、そのまま当てはまります。
つまり、2022年の時点では「作っても評価されにくい」という効率の話だったものが、現在は「ポリシー違反と判断されうる」という問題になったということです。
影響は検索順位だけにとどまらない可能性があります
もう1点、2022年当時にはなかった論点があります。
現在は検索結果にAIによる要約が表示され、その中で情報源としてページが引用されるようになりました。ポリシー違反と判断されたサイトは、検索順位が下がるだけでなく、こうしたAIによる引用の対象からも外れてしまう可能性があります。
この領域はまだ発展途上のため今後も変化してく可能性がありますが、量産したページのリスクが、以前より広い範囲に及ぶようになったことは意識しておいたほうがよさそうです。
地域名だけを変えたページを、増やしていませんか
士業事務所のホームページで、特によく見かけるのが地域名のパターンです。
「◯◯市の相続」「△△市の相続」というように、対応可能な市区町村の数だけページを用意するという作り方です。数十ページ、多いところでは百を超える単位で作られていることもあります。
内容が地域名以外まったく同じであれば、これは上でご説明した手法そのものです。加えて、検索結果から誘導することだけを目的としたページは、以前からスパムポリシーの対象とされています。
ただし、地域ごとのページを作ること自体が悪いわけではありません。分かれ目は、その地域ならではの情報が書かれているかどうかです。
- ◯:その自治体や管轄部署での運用が、他とどう違うか
- ◯:その地域で実際に扱った案件の傾向
- ◯:申請先の窓口や、そこまでのアクセス
- ◯:その事務所の所在地ならではの情報や業務の案内
- ×:地域名を入れ替えただけで、あとは同じ文章
その地域について書けることがないなら、ページを分ける必要はありません。1つのページにまとめて、対応地域を一覧で示しておくほうが、結果的に評価されやすくなります。
訪問者を個別にフォローする姿勢の欠如
以上は検索結果に表示されるかどうかの問題、言い換えれば「ホームページを訪問してもらえるかどうか」という入口部分で生じる可能性のあるデメリットですが、業務案内ページのコピー生産にはもう一つ、ホームページに訪問してもらって以降、「相談や依頼につながるかどうか」という出口部分で生じる可能性のあるデメリットもあります。
ある1つの業務案内ページを作り、その業務名や地域名だけを置換して別の業務案内ページを作った場合、新たに作った業務案内ページは、はたしてホームページ訪問者の置かれた状況や、悩んでいること、心配していることをしっかりフォローできているでしょうか。
また、業務の流れや事務所の強みなど、ご依頼後のイメージも、その業務ならではの内容になっているでしょうか。
業務案内ページをコピー・置換で量産するほど、ホームページの訪問者を個別にフォローする姿勢が希薄となり、訪問者にとって「これは私のことだ」「私の悩みを解決してくれる事務所だ」という共感や不安解消が図れないコンテンツになってしまいます。
士業さんの側からすれば結局は同じような作業を進めることになる業務であっても、訪問者の抱えている不安、陥っている状況は様々です。
そこにフォーカスせず、士業事務所の側から「こんな業務あるんでよろしく」と一方的に案内されても、それは見知らぬ人への押し売り営業と変わらないスタイルであり、Webから直接の受任を図ることは難しくなります。
ページ原稿を作ることは、確かに手間や時間がかかるので面倒な作業ではあります。しかし、もっとも相談に直結しやすい、依頼までの距離が近い業務案内ページをおざなりに作ってしまえば、Webから直接かつ継続的な集客は見込めません。
「このページ、似すぎたかな?」を確認する方法
以上のデメリットが大きいので、1つの業務案内ページをコピーして、次の業務案内ページを作ることは極力避けるほうがよいでしょう。
とはいえ、業務案内ページにはそもそも、料金やご依頼の流れ、対象地域など、どうしても他の業務案内ページと類似しやすいコンテンツが複数含まれるのが通常です。
そういった類似しやすいコンテンツを含んで、全体として各ページがどれくらい似通ってしまっているか。確認する方法をいくつかご紹介します。
1.チェッカーで数値を見る
Web上で公開されているチェッカーを使うと、2つのページの類似度を数値で確認できます。
使い方は、比較したいページのURLを入力するだけです。
2.見出しだけを並べて比べる
ツールを使わない方法として、2つのページの見出しだけを書き出して並べてみるというやり方があります。
見出しの構成も、その並び順も、言い回しまで同じであれば、本文も同じ構造になっているはずです。見出しが違えば、中身は自然と違ってきます。
この方法の利点は、ツールのサービス終了に左右されないことです。
3.Search Consoleで、同じ検索語に複数ページが出ていないか見る
Google Search Consoleを導入している場合、同じ検索語に対して、自分のサイトの複数のページが入れ替わり立ち替わり表示されている状態を見つけられます。
これは、検索エンジンが「どのページを出すべきか決めかねている」可能性があります。該当するページ同士は、内容が近すぎるのかもしれません。
どこを共通にして、どこを作り分けるか
「ページをコピーするな」といっても、業務案内ページには共通で構わない部分と、必ず作り分けるべき部分があります。
共通で構わない部分
- 事務所の所在地、連絡先、営業時間
- 相談の予約方法、オンライン相談への対応
- 支払い方法
- 事務所の理念や、士業さんのプロフィール
これらは業務が違っても同じ内容になるのが当然ですし、ページごとに書き分ける必要もありません。
必ず作り分けるべき部分
- 冒頭の状況描写……その業務を必要としている人が、いまどんな状況に置かれているか
- つまずきやすい点……その手続きで、多くの人が引っかかるのはどこか
- 必要書類の実際……手引きの一覧ではなく、実際に集めるときに手間がかかるもの
- 期間の実感……案内上の標準処理期間ではなく、実際にどれくらいかかっているか
- 費用の内訳……報酬以外に、実費として何がいくらかかるのか
- お引き受けできないケース……どういう条件だと、別の手続きを検討すべきか
重要なのは、これらはすべて、実際にその業務を扱っている士業さんにしか書けないということです。置換では作れませんし、AIにも勝手には書けません。
訪問者の状況に応じた、不安を解消するコンテンツとして改訂する
もしチェッカーで「激似」が出てしまったら、要注意。
その場合は、その業務のご依頼者をイメージして、「その依頼者はどのような状況で困っているのか」「どんなことを希望しているのか」「その状況に、士業としてどんなアプローチが可能なのか」を具体的に表現しながら、各ページを増補・改訂していくとWebから直接の集客に近づく改善を図れるはずです。
そしてこの方法は、Googleが示している方針とも合致します。Googleは、内容の似たページが複数ある場合の対処として、それぞれに独自の内容を追加するか、1つのページにまとめることを挙げています。
つまり、似たページを減らす手段は「書き足す」か「まとめる」の2つということです。
すでに量産してしまっている場合
ここまで読んで、「うちのサイトがまさにその状態だ」と思われた士業さんもいらっしゃるかもしれません。
その場合、慌ててすべて削除する必要はありません。むしろ、削除は最後の手段です。既に検索結果から訪問者が来ているページを消すと、その流入まで失うことになるからです。
取れる対応は、おおむね次の3つです。
- 書き足す……上で挙げた「作り分けるべき部分」を、優先度の高いページから順に加筆していく
- まとめる……内容がほぼ同じページ同士を1つに統合し、統合元から統合先へ転送する設定を入れる
- 検索対象から外す……残しておきたいが検索結果には出さなくてよいページを、そのように設定する
2つめと3つめは、設定を誤るとページが見られなくなったり、検索結果から必要なページまで消えたりする作業です。場合によっては、制作会社または保守を依頼している会社に相談したうえで進めてください。
そして1つめについては、全ページを一度に直そうとしないこと。まずは、もっとも受任につなげたい業務のページを1つ選んで、そこを厚くする。それが済んだら次のページへ。この順番で進めるほうが、確実に前に進みます。
まとめ
Web集客で大事なのは、入口となる検索エンジンがどのように考えているのかを前提とした、訪問者の不安や悩みの解消に向けた士業さんからのフォローの姿勢です。
そして2024年以降、検索エンジンの側が、量産されたページに対してより明確な姿勢を示すようになりました。生成AIによって誰でも大量のページを作れるようになったことも影響していますね。
ページ数を増やすことではなく、1つ1つのページにできるだけその事務所でしか書けないことを入れていく。遠回りに見えて、結局はこれがいちばん確実な道だと考えています。




