士業事務所でウェブサイト(ホームページ)を活用するとき、Googleアナリティクスなどアクセス解析を導入して、その訪問者数などをコンスタントに確認している事務所は多いと思います。
しかし、アクセス解析だけ頻繁に確認しても、いつ、どのような修正を行い、どれくらい反応率が変わったのかが把握できなければ、ウェブサイトをより効果的に改善することは難しいです。
修正した部分のログと反応件数を書き留めておく
より効果的にウェブを活用するなら、アクセス解析の導入と合わせて、ウェブサイトの修正ログと、反応件数(電話問い合わせがウェブサイトのゴールなら電話の鳴った回数、お問い合わせメールがゴールならメールの受信件数)を簡単に書き留めておく方法がおすすめです。
とはいえ、あまり細かく記入できる欄を用意しても、運用できず滞ってしまっては意味がありませんので、ごくシンプルな表で構いません。
本ページではWord形式の簡単な表を用意しましたので、ログを付けていない人は参考にしてみてください。
アナログな方法ですが、印刷して目に入りやすい壁などに貼っておき、手書きでいろいろ書き加えるほうが活用しやすいことも多いです(この方式のほうが、ちょっとしたアイディアを思いついたとき余白にすぐ書き留めておけるメリットもあります)。
GA4のグラフに直接メモを残す
2025年3月から、Googleアナリティクス(GA4)に「メモ」という機能が追加されました。
これは、レポートのグラフ上に、その日付と紐づけた形で書き込みを残せる機能です。「ヘッダー画像を変更」「料金ページを追加」といった内容を記録しておくと、後日グラフを見たときに、その時点で何をしたのかが一目で分かります。
紙の表と比べた利点は、数字とメモが同じ画面に並ぶことです。グラフの線が動いた箇所に、その原因の候補が書いてある状態になります。
修正の記録はGA4のメモに、反応件数は手元の表に、といった使い分けでも構いません。大事なのは、あとから振り返れる形で残っていることです。
何を記録しておくか
記録する項目が多すぎると続きませんので、次の4つを書き留めてみるのはどうでしょうか。
- 日付
- どこを、どう変えたか(「トップのキャッチコピーを変更」程度で構いません)
- その月の問い合わせ件数
- その月の受任件数
3つめの問い合わせ件数について、1点だけ注意があります。事務所向けの営業メールは、当然ですが件数から除外する必要があります。近年はお問い合わせフォームに営業目的の送信が多く届くようになりました。これを含めたまま数えると、反応率が実態より高く見えてしまいます。
また、余裕があればSearch Consoleの表示回数も月に一度控えておくと、後々の判断材料が増えます。
クリック数やアクセス数より先に動く数字なので、変化に早く気づけます。
検索順位の変更を判断するときは要注意
ウェブサイトの修正を行ったとき、たとえばそれが目立つ位置にあるヘッダー画像のリニューアルであったり、問い合わせと直接関係しやすいお問い合わせバナーの変更であるときなどは、修正後の反応件数がどう変わったか、アクセス解析と修正ログを照らし合わせて検討することになります。
ここで気をつけたいのは、修正した後に判断する対象が、ウェブサイトの反応率ではなく検索順位の変動(上昇したか下降したか)であるときです。
検索順位は日々小さく変動し、時に理由なく大きく変動することもあります。また大きく変動した後、数日から数週間で元に戻ることもまた多いのが検索順位です。
さらに検索順位の変動は、何か修正を1点2点加えたことによって生じることは稀で、いくつもの修正が累積した結果として生じることが多く、その変動はメモした修正ログと簡単に結びつけられるものでもありません。
アクセス解析と修正ログを対比する第一の目的は、反応件数(ウェブサイト訪問者の数と、ゴールまで至った人の比率)などを確認するためですから、検索順位の短期的判断に活用して惑わされないようにしてください。
Googleの大きな更新と照らし合わせる
とはいえ、順位や流入が大きく動いたとき、その原因を知りたくなりますよね。
そのときに確認していただきたいのが、その時期にGoogle側で大きな更新が行われていなかったかという点です。
Googleは検索の評価方法について、年に数回、規模の大きな更新を実施していて、その時期と内容を公表しています。これらの更新が行われると、多くのサイトで順位や流入が同時に動きます。
つまり、自分が何かを修正したから動いたのではなく、全体が動いたという可能性です。
修正ログに書いた内容と、数字の動きを結びつける前に、この確認を挟むことで、効果のなかった施策を「効果があった」と誤認することを防げます。
順位以外の理由で数字が動くようになった
近年は、もう1つ気をつけたい要因があります。
検索結果の上部にAIによる要約が表示されるようになり、簡単な疑問は検索した人がどのサイトも開かずに解決するようになったことです。
その結果、検索順位は変わっていないのに、アクセス数だけが減るという現象が広く起きています。
修正ログと数字を突き合わせるとき、この変化を知らないと「先月の修正が悪かったのではないか」という誤った結論に至りかねません。
見分ける手がかりは、Search Consoleの数字です。
- 表示回数は落ちていないのに、クリックが減っている → AI要約の影響である可能性が高い
- 表示回数そのものが落ちている → 順位が下がった可能性がある
そして、どちらの場合でも最終的に確認すべきは、問い合わせ件数が維持できているかです。訪問者が減っていても依頼が減っていないのであれば、慌てて手を入れる必要はなさそうです。
記録を続けるコツ
ログを付ける習慣は、始めるのは簡単でも、続けるのが難しいものです。数ヶ月で止まってしまったという事務所さんも多いのではないでしょうか。
続けるための工夫を、以下で3つ挙げておきます。
1.修正した直後に書く
「あとでまとめて」と考えると、まず忘れてしまいますよね。修正の作業と、記録の作業を1セットにしてしまうのが確実です。
GA4のメモ機能を使う場合も同様で、修正を終えたその場で書き込んでしまってください。
2.月に一度、数字を入れる日を決める
問い合わせ件数や受任件数は、月末か月初に決まった日を作って、まとめて記入します。
毎日アクセス解析を見る必要はありません。むしろ毎日見ると、細かな変動に一喜一憂して疲れてしまいますから。
3.効果がなかった施策も残す
効果の出なかった修正は、記録から抜けがちです。しかし「やってみたが変わらなかった」という記録は、やらなくてよい作業を教えてくれるという点で、成功した記録と同じくらい価値がある可能性も。
数年分たまってくると、この記録自体が事務所の財産になります。他の誰も持っていない、自分のサイトについてのデータですので。
AIでまとめる
最後に追記です。最近はどんなデータであれ、どんなまとめ方であれ、最後にAIに送ってわかりやすいようにグラフや概要を説明してもらう方法もとれるようになりました。
このページで紹介したような方法とは全く違っても、データさえ何かに残していけば、その活用は後からなんとでもなる。ぶっちゃけ、そんな時代になりつつあると言えそうです。




