数年前まで、何らかの業務を取り扱っている事務所を探すときは「○○(業務名)+地域」という組み合わせでの検索が王道でした。
しかしスマートフォンが普及して以降、検索の方法は大きく変化しており、「○○(業務名)」のみ、あるいは「△△士(税理士や司法書士など士業の資格名)」のみで検索して、表示されるマップなどから相談しやすい事務所を選択する人も増えています。
たとえば美容室を探したり、病院を探したりするとき、ご自身でも「美容室」一単語だけとか、「皮膚科」「歯科」のみで検索して、表示されるいくつかの候補から「ここだ」と思うところに足を運ぶという経験をされた士業さんは多いのではないでしょうか。
近年はこれに加えて、AIに「こういう状況なのだが、どこに相談すればよいか」と尋ねる人も出てきました。いずれの場合も、事務所のウェブサイトにたどり着く前の段階で、事務所が見つかるかどうかが決まっています。
そこに事務所の情報を表示させる仕組みが、Googleビジネスプロフィールです。
その前に:「Googleマイビジネス」から名称が変わりました
この記事を最初に公開した2020年当時、この仕組みは「Googleマイビジネス」という名称でした。現在は2021年11月にGoogleビジネスプロフィールへと名称が変更されています。
変わったのは名前だけではありません。士業さんが混乱されやすいところなので、先に整理しておきます。
- 専用のスマートフォンアプリ(Googleマイビジネスアプリ)は2022年に廃止されました
- 2022年11月以降、専用の管理画面にログインする方式ではなく、Google検索やGoogleマップの画面上で直接編集する方式に変わりました
- ビジネスプロフィールの情報から簡易サイトを作れる機能は、2024年に終了しました
- チャットでやり取りできるメッセージ機能も、2024年7月に終了しました
以前に設定したきり触っていない事務所さんが、久しぶりに操作しようとして「アプリが無い」「管理画面が見つからない」と戸惑われるのは、このためです。
一部に変更はありましたが、設定した情報自体は基本的に残っています。
Googleビジネスプロフィールで管理できる情報
Googleビジネスプロフィールは、Googleの検索結果やGoogleマップに表示される店舗や会社の情報を更新・管理するための仕組みです。
たとえば横浜付近で「士業ホームページ制作」と調べたとき、マップ内やその横に制作会社の候補が表示されるかと思います。
ここで仮に弊社「風デザイン株式会社」をクリックすると、事務所の詳細情報が表示されます。
Googleビジネスプロフィールを利用すれば、ここに表示される名称や内容、写真、営業時間などの細かな情報を、管理者として設定したり情報発信できるようになります。
検索してすぐ目に入ってくる位置に表示されていることが多いこと、また士業事務所では力を入れている事務所と全く関与していない事務所の差が非常に激しいことから、いまから手を入れておくことで差別化にもつながりやすい仕組みです。
お客さんに事務所まで来てもらうことで成り立っている士業事務所において、Googleビジネスプロフィールは「もう1つのホームページ」といっても過言ではないかもしれません。。
始め方と、日々の管理のしかた
現在の手順は、以前よりシンプルになっています。
Googleのアカウント(Gmailなど)にログインした状態で、Google検索の検索窓に、ご自身の事務所名を入力して検索してください。
事務所の情報が表示され、まだ誰も管理者になっていなければ「このビジネスのオーナーですか?」といった案内が表示されます。そこから管理権限の取得手続きに進みます。既に管理者になっている場合は「ビジネスプロフィールを管理」といった項目が表示され、そのまま編集画面に入れます。
なお、事務所の情報がまだGoogle上に存在しない場合は、新規に登録することになります。
管理権限を得るには「オーナー確認」という手続きが必要です。以前はハガキの郵送による確認が中心でしたが、現在は事務所の様子を動画で撮影して送る方式が案内されることが多くなっています。撮影内容の指示が画面に表示されますので、それに従ってください。確認が完了するまで数日かかる場合があります。
最低限、設定しておきたい項目
まず埋めておきたいのは、次のような項目です。
- 事務所の所在地、営業時間、電話番号
- ウェブサイトのURL
- サービス提供地域
- 事務所の説明文(750文字まで)
- 写真
電話番号も設定しておくと、既に何らかの業務を急ぎ依頼したい人は、ウェブサイト訪問前にビジネスプロフィール上の電話番号から連絡を取ってくることもありえます。
ここで重要なのが、これらの情報を、事務所のウェブサイトの記載と完全に一致させておくことです。
事務所名の表記ゆれ、ビル名の有無、番地のハイフンの書き方。こうした細かな違いでも、同じ事務所の情報として扱われにくくなる場合があります。
ウェブサイト側の記載を見ながら、一字一句そろえてしまうのが確実です。
事務所名は、実在する名称をそのまま入れてください
設定を行う際、検索結果で有利になるからと、事務所名の欄に業務名や地域名を足すケースが見受けられます。たとえば「◯◯行政書士事務所|横浜の建設業許可専門」といった形です。
これはGoogleのポリシー違反にあたり、プロフィール自体が停止される原因になります。
近年、ポリシー違反によるプロフィールの停止は増えているようです。停止されると、検索結果やマップから事務所の情報が表示されなくなり、復旧には再審査の申請が必要になります。せっかく育てた口コミも一時的に見えなくなりますので、リスクに見合いません。
業務内容や対応地域は、説明文やサービスの欄に書くようにして、事務所名の欄は、看板や登録に使っている正式な名称のみにしましょう。
外部の業者から「事務所名にキーワードを入れると上位に出る」と提案された場合も、この点を警戒しておくほうが無難です。
自宅を事務所にしている場合
自宅の一室を事務所として開業されている士業さんも多いと思います。この場合、住所を公開したくないという考えもあるでしょう。
Googleビジネスプロフィールには、住所を非公開にして、対応できる地域だけを表示する設定があります。訪問して業務を行う形態や、オンライン中心で相談を受ける形態であれば、こちらを選べます。
ただし、住所非公開の場合はマップ上にピンが表示されないため、地図から探している人には見つけてもらいにくくなります。来所してもらう業務が中心か、こちらから出向く業務が中心かで判断してください。
事務所内外や士業さんの写真を掲載する
写真の欄には、事務所外観や士業さんの写真、相談スペースや事務スペースなど事務所内外の写真を掲載することができます。
Googleの検索結果やGoogleマップの段階で、写真が表示されることはそれだけで目立ちます。また、事務所内部まで写真で確認することができれば、訪問する側の安心感は初期の段階でだいぶ変わるはずです。
士業事務所への相談は、多くの人にとって初めての経験です。どんな場所へ行くのか、どんな人が出てくるのかが事前に分かるだけで、連絡へのハードルは下がります。
掲載しておきたいのは、次の付近の写真です。
- 建物の外観(目印になるものが入っていると、迷わずに済みます)
- 入口やエントランス
- 相談スペース
- 士業さんご本人
ただし、写真を公開できるからといって、事務所や士業さん自身が暗い場所で写っていたり、ピントが合っていない写真を公開してもイメージが逆に下がってしまうので注意してください。
投稿機能でお知らせを発信する
あまり使っている事務所さんは少ないですが、ビジネスプロフィール上でお知らせを発信する「投稿」という機能があります。
法改正情報やセミナー開催の告知などは、ウェブサイトだけでなくこちらにも投稿しておくと、事務所の活動している雰囲気が検索結果の段階で伝わります。
投稿した内容は、事務所名で検索された際に表示されます。更新が何年も止まっているプロフィールと、直近の投稿があるプロフィールとでは、「いま動いている事務所かどうか」の印象はわかれます。
既にウェブサイトへお知らせを掲載しているのであれば、その内容を転記するのでも構いませんので、もし手間に感じなければ試みてみるのもよいでしょう。
士業事務所の口コミへの向き合い方
ここからは、ある意味、士業事務所にとってはもっとも慎重な判断が必要な部分です。
事務所を探している人が、ウェブサイトを見た後に口コミを確認する、あるいは口コミを見てからウェブサイトへ来る。この流れは、いまや一般的なものになりました。
返信する際は、守秘義務にご注意ください
飲食店や小売店であれば、口コミへの返信は「ご来店ありがとうございました」で済みます。しかし士業事務所は事情が異なります。
たとえば「相続の手続きでお世話になりました」という口コミに対して、「その節はありがとうございました」と返信したとします。これはその投稿者が依頼者であったことを、事務所側が公開の場で認めたことになりかねません。
投稿者本人が自ら書いた内容であっても、事務所の側から裏づける形になると、話が変わってくることがあります。
返信する場合は、個別の案件内容に触れず、一般的な謝辞に留めるなど、一呼吸入れて確認するほうがよいでしょう。
口コミの依頼について
「口コミを書いてもらえませんか」と依頼すること自体は禁止されていませんが、注意点が2つあります。
1つは、報酬や割引と引き換えに口コミを依頼することは、Googleのポリシーで禁止されていることです。
もう1つは、2023年10月から施行されたステルスマーケティング規制です。事業者が関与した内容を、第三者の感想であるかのように見せることが禁止されています。事務所側が文面を用意して書いてもらうような形は、避けてください。
士業事務所の場合、そもそも依頼者に口コミを求めること自体が、業務の性質上なじまないケースもあります。無理に集めようとしないという判断も有りです。
事実と異なる口コミが投稿されたら
Googleには、ポリシーに違反する口コミを報告する仕組みがあります。ただし、単に評価が低いというだけでは削除の対象になりません。対象となるのは、事実無根の内容や、関係のない投稿などに限られます。
感情的な返信をしてしまうと、そのやり取り自体が閲覧者に見られます。対応に迷う内容であれば、いったん返信せず、時間を置いて判断するほうがよいでしょう。
古い情報やマップ上の正確な位置に注意
弊社のクライアントさんと打ち合わせさせていただく際にも、この話題が出ることがあるのですが、設定されている情報や場所をよく確認してみると微妙に違っているケースがあります。
以前なんとなく設定したものの、その後に移転したり事務所名が変わっているのに変更していなかったとか、最初から間違った情報が設定されたままだったとか、Googleマップを拡大してよーく見てみると場所が隣のビルになっていた(!)というケースもありました。(何人かに1人、迷う訪問者がいるという謎がこのとき解けました・・・)
さらに注意していただきたいのが、ビジネスプロフィールの情報は、第三者からの修正提案によって変更される場合があるという点です。実際には移転していないのに、誰かの提案によって情報が書き換わっていた、ということも起こり得ます。
既に情報の掲載を行っている士業事務所さんは、今いちど、設定した事務所の情報をよく確認してみてください。年に一度、年末年始に念のため見直してみるといったタイミングでもよいかもしれません。
その際、確認しておきたいのは、次のような情報です。
- 事務所名、住所、電話番号がウェブサイトと一致しているか
- 営業時間が現状と合っているか(年末年始や夏季休業の設定も含めて)
- マップのピンが、正しい建物の上にあるか
- ウェブサイトのURLが、現在のものになっているか
特に3つめは、実際に地図を拡大して確認してみてください。相談者が入口の前でたどり着けずにいる、という事態は避けたいところです。





